決して忘れられない1日が…。

伝説の日

高校1年生の夏のこと。

 

海の日を過ぎて、いよいよ夏休み!といきたいところだったが、

テストも終わったのになぜか課外授業で学校に行かないといけなかった。

 

しかしそんなある日、

急な思い付きで僕は友だちと島に行くことになったのである。

天気は快晴で風もほとんどなく瀬戸内海は湖のように穏やかで、

大小の島々が浮かび、その上には入道雲が連なっていた。

 

そんな景色の中で、

僕と友人はくだらない話をしながら、

ひたすら歩いて、歩いて、歩いて、たまに、、バス。

というふうに、とにかく島を歩いた。炎天下の中で。

 

ほとんど熱中症になりかけていたのだろうが、

そんなこと気にならないほど周りの景色が輝いて見えた!

本当に目に入るすべてのものがキラキラしていて、

そしてどこか懐かしい空気が漂っていたのだ。

 

したことと言えば、ただ歩いただけ(笑)

ひたすら歩いた後、家に帰ると時刻は16時30分だった。

今でもはっきり覚えている。

~~~~~~~~~

その日、僕は今までに経験したことのない本当に不思議な体験をしたのである。

これは一緒にいた友達も「あれは、何やったんやろうね~」と不思議がって、後々その日を<伝説の日>と定めるほどだった。

それ以降この島に度々行くようになったが、

1度としてこの時のような奇跡は起きていない。

込み上げてくる想いときっかけ

それから6年後…。

僕は大学3年生で、もともと希望したわけでもない大学(美大でもない)に通っていた。

周りは就活モードに入り、いよいよ僕も避けられない選択をする時期が迫っていたが、どう考えてもサラリーマンになって会社で働くということがしっくりこなかったのだ。

それに<伝説の日>のことがやはり忘れられず、仕事の話はそっちのけであの時のことを考えてるうちに、いつしかこの奇跡のような感動を記録として残したい!

という強い思いが僕の中で湧いてきた。
ただ、まだこの時点では画家になろうとまでは頭の中になかったと思う。

そんな中、大学のサークルの繋がりである人と出会うようになる。

その人はイベント企画等の自営業をしており、人脈や東京で培ったノウハウを駆使して仕事をしていた。

僕はその人から少なくとも影響を受け、

サラリーマンでなくてもこういう生き方もあるのか!と考えを変えるきっかけになった。本当に気持ちが楽になり、希望が湧いてきたことを鮮明に覚えている。

ジブリの背景美術との出会い

それからは就活のことはひとまず考えずに、とにかく<伝説の日>の記録を残すことに専念した。

 

まず、どういう形で表現すればいいのかを考えたが、案外その課題はすぐにクリアすることが出来た。

当時の写真も残っていないし、もちろんその日に戻ることも出来ない。だとしたら記憶を頼りに絵を描くということになるが、、、

と思い本屋を廻っているうちにこれだ!というものを見つけた!

それが他でもないジブリの背景美術に関する本だったのである。

なんと、僕が思い描いていたものと驚くほど一致していた。

その後、購入した本や画集を見ながら独学でジブリの背景美術を勉強するようになった。この時の僕は、美術に関する知識はほぼゼロに近かった。

しかし、絵を描いていくとまず基礎を学ばないと画力が上がらないことを切実に感じた僕は、美大の予備校でデッサンなどの基礎を学ぶようになった。

そうしているうちに、進路のことも自然と見えてきて、こうなったらジブリに入って学んでしまえ!と考えるようになり、そのために上京してアニメ背景美術の専門学校に入ることを目標にするようになったのだ。

(↑美術の基礎を学びながら背景美術についても独学で学んでいた頃の作品)

失望を機会に変える

大学卒業後は、晴れて上京することに成功。

専門学校でアニメの背景美術を学ぶようになった。

(↑専門学校生時代の作品:「風立ちぬ」の模写)

 

しかし・・・。

 

やはり思い描いていたものとは違っていた。

専門学校で学ぶことはほとんど僕が今まで学んできたことだったのである。

だから真新しさがなかったし、あくまでアニメの背景美術であって、ジブリの背景美術を専門に学べるわけではなったので正直がっかりしてしまった。

さらに、時代はデジタルの時代に9割が移行してきていたのでPCでの授業も多かったのだ。

そうこうしているうちにすぐに就活が始まったが、僕はそれどころではなく、失望がきっかけとなって、何を描いたらいいのかということさえよくわからなくなっていた。

 

あの島を描くために上京してきたのに、どうしようか…。

その時は不思議と描く気力さえ湧いてこなかったのだ。

 

しかしここで、

自分自身と今までにないくらいに深く向き合うようになったことは事実である。自分の人格や内面まで深く考えるようになっていた。

 

その時、なんとか抜け出さなければならない!と肯定的になれたのは、ある人との出会いにあった。

人は「考え」で生きる

こうして僕の人生を一つ一つ見ていくと、どうやら本当に人に恵まれているらしい。

いつも困難な時には誰かが結果として助けてくれ、そして必ず方向を示してくれた。

 

しかし今回は方向を示してくれただけでなく、

「考え」の重要性を教えてくれたのだ。

 

『人は「考え」で生きる。』

 

よくその人が口にすることだが、絵画に置き換えても確かに考えを形にする作業である。

 

技術だけあって絵が描けるだろうか。

まず、脳がなければ手も動かないというのに。

 

こういうわけで僕は絵を描くということが、自分自身の内面を映し出すようなことだと強く感じるようになったのだ。

 

その後、僕はジブリの道には進まずに、学んだ技術を生かして画家を目指すようになった。そして、「見た目」はもちろん、「心」も磨こうと決心し日々努力するようになったのである!

 

瞬間の機会を掴むこと

(↑作品「瞬間の機会を掴む」2016)

こうして人生を振り返ると、大小さまざまな機会が来ては過ぎ去っていった。

冒頭に紹介した<伝説の日>は僕にとって大きな機会だったのである。

 

しかし、ここで特筆しておきたいことは、

「その時は気付かなかった。」ということだ。

 

後々になってそれがどれほど大きな役割を果たすことになったのかは計り知れない。

 

仮にその日がなければ…

画家にはなっていなかっただろうし、

上京することもなかっただろうし、

さらには、今の自分はいなかっただろう。

決して忘れられない1日が運命を変えたのである。

 

これは僕の人生の話だけれども、

この話をとおして僕が伝えたいことは、

皆さんにも毎日を生きる中で大小さまざまな機会が来ているということだ!

(↑作品「経緯」2018)

瞬間の機会はすぐに過ぎ去り、その中には二度と訪れることのない内容も

あるかもしれない。その機会が「何を意味するのか」、

「どれほど重要なのか」はその時は分からない。

しかし、やってみてこそ分かる。やっておいた人だけが、終わってみるとわかるようになっている!やってみようかと心にやろうという気持ちが生じた時、また思い浮かんだらその瞬間に実践するのである。

皆さんも人生を振り返ってみてほしい。必ずこのような体験が1つや2つははあると思う。

そして、これから来る機会を是非掴んでいってほしい。